東京セントラル特許事務所  
 
  東京セントラル特許事務所 Home >>Topics >>トピックス

 

弁理士リレーエッセイ

トピックス:第2回「外国出願許可制度について」 2010.03.10
トピックス:第1回「EPC施行規則の重要な改正(2010年4月1日施行)」

2010.01.29

   
 

トピックス:第2回「外国出願許可制度について」

                                 弁理士 佐々木 まどか

 特許出願に関する外国出願許可制度についてお話しようと思います。特許出願に関する外国出願許可制度とは、自国でなされた発明を外国に出願する際、担当当局の許可が必要という制度です。
  現在の日本にはこのような制度はありません。しかしながら、通信手段、交通手段のグローバル化が進み、研究や開発が地理的シームレスに行われる昨今、外国人と日本人による共同発明の出願や、国際的な審査制度や料金体系を賢く利用するため出願地を選んで出願するようなケース、即ち、発明地と出願地が一致しないケースが今後増えていくと考えられます。このようなケースにおいては、関係国の外国出願許可制度に留意する必要があります。
  例えば、米国には外国出願許可制度があるため、米国の大学教授と本社が日本にある日本企業の従業員との共同発明の場合、日本企業のみが出願人であっても、出願に関する打ち合わせは日本企業の会議室のみで行ったとしても、米国の大学教授が米国で発明した部分が含まれる場合(例えば、米国の教授室のパソコンを使って発明した部分が含まれる場合)、かつ、日本を第1出願国にして米国でも特許を得たい場合、米国に対して外国出願許可を得る必要があります。

 以下、主に、財団法人 知的財産研究所が公開している「国際的共同研究における共同発明者・発明地の認定等に関する調査研究報告書(平成20年3月)」に基づいて、6つの国(米国、ドイツ、イギリス、フランス、中国、韓国)における外国出願許可制度について簡単に紹介したいと思います。
  上記6つの国では、外国出願許可制度に関して、国家機密に関わるような国家完全上問題となる発明と、その他の発明とでは取り扱いが異なります。国家安全上問題となる発明を外国に出願する場合、フランスを除く各国とも許可制度の規定があります(フランスでは外国への出願は認められません。日本にはこの「国家安全上問題となる発明」に関しても何ら規定がありません!大丈夫なのでしょうか。。。。。)。更に、米国、フランス、及び中国には、一般的な発明を外国に出願する場合に関しても適用される規定が設けられています。通常の業務で扱う可能性が高いのは「一般的な発明」であると思いますので、米国、フランス及び中国の各国における「一般的な発明」にも適用される外国出願許可に関する規定について、もう少し具体的に見て行きたいと思います。

1.米国(35USC 181, 184, 185, 37CFR§5.11-1.15、MPEP140等)
(1)許可が必要な場合:発明地が米国
(2)発明地の定義:発明の着想と実施化の行為がされた地(MPEP2138.02)
(3)許可を得るには:許可申請をすることにより許可を得る。但し、米国を第1出願国として出願した場合、出願後6ヶ月経てば自動的に許可が得られたことになる。なお、許可が得られていない状態で、外国に出願した場合であっても、救済措置がある。
(4)PCT出願:できる。但し、アメリカで出願し、かつ、しかるべき時期までに許可を得なければならない。外国で出願する場合は出願時に許可が必要。
(5)違反すると:米国では特許が受けられない、又は無効理由となる。但し、許可が得られていない状態で、外国に出願(又はPCT出願)した場合であっても、救済措置がある。また、外国出願許可を取得せずに特許取得した場合は、外国出願許可を取得しなかったことが錯誤によるで、かつ、欺瞞の意志がないとして、しかるべき手続きをすれば救済されるようである。

2.フランス(フランス知的財産法第614条2の第2段落、第18等)
発明地は問題されず、出願人がフランスに居所又は営業所がある場合に、外国出願許可が必要となります。
(1)フランスを第1国として出願しなければならない場合:フランスに居所、又は営業所がある出願人(共同出願の場合は、少なくとも一人の出願人)の場合
(2)(発明地は問題とならないため割愛)
(3)許可を得るには:許可は得られない
(4)PCT出願:できる。但し、フランス出願を先の出願として優先権主張し、かつフランスにおいて出願されなければならない。なお、欧州特許出願もできるが、フランスにおいて出願されなければならない。
(5)違反すると:罰金、但し、特許権は無効にはならない

3.中国(中国特許法第20条)
  機密保持審査を請求し、問題なければ外国への出願が認められます。
(1)許可が必要な場合:発明地が中国である発明についての特許出願
(2)発明地の定義:明確な規定はなない。
(3)許可を得るには:第1国出願が中国か否かに関わらず、外国に出願する際には機密保持審査の請求を行い、外国出願許可の審査結果を得なければならない。
(4)PCT出願:できる。但し、外国にPCT出願する場合は出願前に機密保持審査の請求を行わなければならない。中国にPCT出願する場合は、同時に機密保持審査を請求したものとみなされるので、何もしなくてよい。
(5)違反すると:中国では特許が受けられない

 以上のように、中国には外国出願許可の違反に対する救済措置が明確になく、また発明地の明確な定義もないようですので、国家秘密にかかわるような発明でない場合であっても、中国の方が発明者又は共同発明者に含まれている発明を例えば日本を第1国にして出願される場合は、特に注意すべきようです。
  なお、各国の規定は適宜改正されますので、実際に外国出願許可制度を留意すべき案件が発生された場合は、その案件に適用される条件や手続きを現地代理人に確認されることをお勧め致しますが、当稿が今後の外国出願実務の一助になれば幸いです。

 

 
 
************************************************************
 
   
 

トピックス:第1回「EPC施行規則の重要な改正(2010年4月1日施行)
                                   (2010.3.12改訂版)

                                 弁理士 横田 絵美子

1.分割出願の時期的制限の変更(Rule 36)
  現行制度によれば、出願人は、EPC出願が係属している限り分割出願を行うことが可能です。そのため、出願人は、係属中のEP出願に対して特許付与されるまで、分割出願の要否の決定を延ばすことができます。また、分割出願から更に分割出願も時期的に制限なく行うことができます。
しかしながら、EPC出願が係属していること(*1)に加え、分割出願の時期が以下のように制限されるようになります。
2010年4月1日に係属中及び2010年4月1日以降の出願に適用されます。

(a)分割出願は、最先の出願(the earliest application)に関し審査部が発行する最初の通知(*2)(拒絶理由通知又は特許付与通知)から24カ月満了まで(*3)に行う必要がある。
(b)分割出願は、先の出願は単一性(Article 82)を満たさないと審査部が提起した最初の通知(*4)(*5)から24カ月満了まで(*3)に行う必要がある。

 (経過措置)
  2010年4月1日に係属中の出願については、上記(a)及び(b)の期間の満了日が2010年4月1日より前、又は2010年4月1日より6カ月以内の場合であっても、6か月の猶予期間が認められ、2010年10月1日まで、自発的な分割出願が可能です。

(*1)先の出願が最初の通知前に失効していたり取下げられている場合、分割出願はできない。また、上記最初の通知後に係属を止めたら、24ヶ月経過前でも同様に分割出願できない。
(*2)Article 94(3) and Rule 71(1),(2), or Rule 71 (3)の通知のこと。サーチレポートの見解書は含まれない。
(*3)Rule 126(2)の10日ルールが24ヶ月の計算に適用されるので、アクション発行日に10日を加えることができる。
(*4)典型的にはArticle 94(3) and Rule 71(1),(2)の通知のこと。サーチレポートの見解書は含まれない。レアケースではあるが、口頭審理の召喚や、電話や直接インタビューの議事録の通知は、単一性欠如が最初に提起されたのであれば、口頭審理や、電話や直接インタビューの日にちも、その起算日となり得る。
(*5)単一性違反の拒絶理由を受けた場合において、もし先の出願で既に同じ内容の単一性違反の拒絶理由を受けていた場合には、当該先の出願における単一性違反の審査部の通知から24カ月を起算する。新たな別の理由に基づく単一性(Article 82)違反を審査部が通知した場合には、当該通知によって新たな24カ月の時期的制限が起算され得る。

2.サーチレポートの見解書に対する応答の義務化(Rule 70a、Rule 161(1))
  現行制度によれば、出願人はサーチレポートの見解書への応答は任意でした。
  改正後は、サーチレポートの見解書に対して応答しない場合には、「その出願は取り下げられた」とみなされることになります。

(a)直接EP出願(Rule 70a(1))
  拡張欧州調査報告(EESR;Extended European Search Report)に伴う見解書に対し、EESRの公開から6カ月以内に応答しなければなりません。
2010年4月1日以降にサーチレポートが作成される出願に適用されます。

(b)EURO−PCT出願(EPOが国際調査機関でない場合)(Rule 70a(2))
  EPOを国際調査機関又は国際予備審査機関としないPCT出願のEP移行出願の場合は、補充欧州調査報告(Supplementary European Search Report)に伴う見解書に対し、EPOにより指定される出願続行手続の期限内(2カ月以内)に応答しなければなりません。
2010年4月1日以降にサーチレポートが作成される出願に適用されます。

(c)EURO−PCT出願(EPOが国際調査機関(及び国際予備審査期間)である場合)(Rule 161(1))
  EPOを国際調査機関又は国際予備審査機関とするPCT出願のEP移行出願の場合は、国際調査機関の見解書または国際予備審査報告に対し、EPOのRule 161に基づく通知から1カ月以内(*6)に応答しなければなりません。
2010年4月1日前に、Rule 161に基づく通知が未発行の出願に適用されます。
(*6)Rule 161に基づく通知は、通常、EP移行手続きから1〜2カ月で通知される。
  EPOが国際調査機関のPCT出願をEPに国内移行する場合には、EP移行手続きのタイミングで、国際調査機関の見解書(又は国際予備審査報告)に対する応答を準備をしておく方が好ましいと思われます。

3.自発補正の制限(Rule 137)
  現行制度によれば、出願人は、調査報告の受領から審査部の最初の拒絶理由通知の応答時まで、自発補正を行うことができました。
  改正後は、自発補正は、Rule 70a(1)及びRule 70a(2)、Rule 161の応答とともに、行うことができます。

・直接EP出願(Rule 70a(1))の場合、EESRの公開から6ヶ月以内
・EPOを国際調査機関又は国際予備審査機関としないPCT出願のEP移行出願(Rule 70a(2))の場合は、EPOにより指定される出願続行手続の期限内(2カ月以内)
・EPOを国際調査機関又は国際予備審査機関とするPCT出願のEP移行出願の場合(Rule 161)は、EPOのRule 161に基づく通知から1カ月以内

4.調査対象となる独立クレームの制限(Rule 62a)
  現行制度によれば、同一カテゴリー(生産物、方法、装置、用途)に複数の独立クレームを含む出願であっても、発明の単一性が満たされれば調査対象とされ、Rule 43(2) (*7)を満たすことは、審査段階で要求されました。
  改正後は、同一カテゴリー(生産物、方法、装置、用途)に複数の独立クレームを含む出願が、Rule 43(2)を満たさない場合、出願人は、2ヶ月以内に、調査対象となる独立クレームを選択することを通知されます。出願人が、通知に対して応答しなければ、各カテゴリーの最初の独立クレームが調査対象となります(Rule 62a(1))。
  審査部は、Rule 62a(1)による拒絶は妥当でないと判断した場合でない限り、調査された主題にクレームを限定することを、出願人に要求します(Rule 62a(2))。
  なお、補正後のクレームは、調査されていない主題に関するものであってはなりません(Rule 137(5))。
2010年4月1日以降にサーチレポートが作成される出願に適用されます。

(*7)Rule 43(2)
  発明の単一性を満たし、かつ、次の(a)〜(c)のいずれかを満たす場合に限り、出願に同一のカテゴリーに属する複数の独立クレームを含めることができる。
(a)相互に関連する生産物
(b)生産物又は装置の異なる用途であること
(c)特定の問題を解決するための代替の解決法であって、単一のクレームによってはカバーできない解決法であること

 

 

規則改正の詳細は、下記をご参照ください。
http://www.epo.org/patents/law/legal-texts/decisions/archive/20090325.html
http://www.epo.org/patents/law/legal-texts/decisions/archive/20090325a.html
http://www.epo.org/topics/news/2009/20090403.html
http://www.epo.org/patents/law/legal-texts/InformationEPO/archiveinfo/20090820.html

 

 
 
************************************************************
 



 Topics
事務所短信
知的財産権情報

 

 
 
 
 
 
ご利用に際して サイトマップ 更新履歴 リンク集
 
東京セントラル特許事務所へのアクセス Tokyo Central Patent Firm