トピックス:第1回「EPC施行規則の重要な改正(2010年4月1日施行) 」
(2010.3.12改訂版)
弁理士 横田 絵美子
1.分割出願の時期的制限の変更(Rule 36)
現行制度によれば、出願人は、EPC出願が係属している限り分割出願を行うことが可能です。そのため、出願人は、係属中のEP出願に対して特許付与されるまで、分割出願の要否の決定を延ばすことができます。また、分割出願から更に分割出願も時期的に制限なく行うことができます。
しかしながら、EPC出願が係属していること(*1)に加え、分割出願の時期が以下のように制限されるようになります。
2010年4月1日に係属中及び2010年4月1日以降の出願に適用されます。
(a)分割出願は、最先の出願(the earliest application)に関し審査部が発行する最初の通知(*2)(拒絶理由通知又は特許付与通知)から24カ月満了まで(*3)に行う必要がある。
(b)分割出願は、先の出願は単一性(Article 82)を満たさないと審査部が提起した最初の通知(*4)(*5)から24カ月満了まで(*3)に行う必要がある。
(経過措置)
2010年4月1日に係属中の出願については、上記(a)及び(b)の期間の満了日が2010年4月1日より前、又は2010年4月1日より6カ月以内の場合であっても、6か月の猶予期間が認められ、2010年10月1日まで、自発的な分割出願が可能です。
(*1)先の出願が最初の通知前に失効していたり取下げられている場合、分割出願はできない。また、上記最初の通知後に係属を止めたら、24ヶ月経過前でも同様に分割出願できない。
(*2)Article 94(3) and Rule 71(1),(2), or Rule 71 (3)の通知のこと。サーチレポートの見解書は含まれない。
(*3)Rule 126(2)の10日ルールが24ヶ月の計算に適用されるので、アクション発行日に10日を加えることができる。
(*4)典型的にはArticle 94(3) and Rule 71(1),(2)の通知のこと。サーチレポートの見解書は含まれない。レアケースではあるが、口頭審理の召喚や、電話や直接インタビューの議事録の通知は、単一性欠如が最初に提起されたのであれば、口頭審理や、電話や直接インタビューの日にちも、その起算日となり得る。
(*5)単一性違反の拒絶理由を受けた場合において、もし先の出願で既に同じ内容の単一性違反の拒絶理由を受けていた場合には、当該先の出願における単一性違反の審査部の通知から24カ月を起算する。新たな別の理由に基づく単一性(Article 82)違反を審査部が通知した場合には、当該通知によって新たな24カ月の時期的制限が起算され得る。
2.サーチレポートの見解書に対する応答の義務化(Rule 70a、Rule 161(1))
現行制度によれば、出願人はサーチレポートの見解書への応答は任意でした。
改正後は、サーチレポートの見解書に対して応答しない場合には、「その出願は取り下げられた」とみなされることになります。
(a)直接EP出願(Rule 70a(1))
拡張欧州調査報告(EESR;Extended European Search Report)に伴う見解書に対し、EESRの公開から6カ月以内に応答しなければなりません。
2010年4月1日以降にサーチレポートが作成される出願に適用されます。
(b)EURO−PCT出願(EPOが国際調査機関でない場合)(Rule 70a(2))
EPOを国際調査機関又は国際予備審査機関としないPCT出願のEP移行出願の場合は、補充欧州調査報告(Supplementary European Search Report)に伴う見解書に対し、EPOにより指定される出願続行手続の期限内(2カ月以内)に応答しなければなりません。
2010年4月1日以降にサーチレポートが作成される出願に適用されます。
(c)EURO−PCT出願(EPOが国際調査機関(及び国際予備審査期間)である場合)(Rule 161(1))
EPOを国際調査機関又は国際予備審査機関とするPCT出願のEP移行出願の場合は、国際調査機関の見解書または国際予備審査報告に対し、EPOのRule 161に基づく通知から1カ月以内(*6)に応答しなければなりません。
2010年4月1日前に、Rule 161に基づく通知が未発行の出願に適用されます。
(*6)Rule 161に基づく通知は、通常、EP移行手続きから1〜2カ月で通知される。
EPOが国際調査機関のPCT出願をEPに国内移行する場合には、EP移行手続きのタイミングで、国際調査機関の見解書(又は国際予備審査報告)に対する応答を準備をしておく方が好ましいと思われます。
3.自発補正の制限(Rule 137)
現行制度によれば、出願人は、調査報告の受領から審査部の最初の拒絶理由通知の応答時まで、自発補正を行うことができました。
改正後は、自発補正は、Rule 70a(1)及びRule 70a(2)、Rule 161の応答とともに、行うことができます。
・直接EP出願(Rule 70a(1))の場合、EESRの公開から6ヶ月以内
・EPOを国際調査機関又は国際予備審査機関としないPCT出願のEP移行出願(Rule 70a(2))の場合は、EPOにより指定される出願続行手続の期限内(2カ月以内)
・EPOを国際調査機関又は国際予備審査機関とするPCT出願のEP移行出願の場合(Rule 161)は、EPOのRule 161に基づく通知から1カ月以内
4.調査対象となる独立クレームの制限(Rule 62a)
現行制度によれば、同一カテゴリー(生産物、方法、装置、用途)に複数の独立クレームを含む出願であっても、発明の単一性が満たされれば調査対象とされ、Rule 43(2) (*7)を満たすことは、審査段階で要求されました。
改正後は、同一カテゴリー(生産物、方法、装置、用途)に複数の独立クレームを含む出願が、Rule 43(2)を満たさない場合、出願人は、2ヶ月以内に、調査対象となる独立クレームを選択することを通知されます。出願人が、通知に対して応答しなければ、各カテゴリーの最初の独立クレームが調査対象となります(Rule 62a(1))。
審査部は、Rule 62a(1)による拒絶は妥当でないと判断した場合でない限り、調査された主題にクレームを限定することを、出願人に要求します(Rule 62a(2))。
なお、補正後のクレームは、調査されていない主題に関するものであってはなりません(Rule 137(5))。
2010年4月1日以降にサーチレポートが作成される出願に適用されます。
(*7)Rule 43(2)
発明の単一性を満たし、かつ、次の(a)〜(c)のいずれかを満たす場合に限り、出願に同一のカテゴリーに属する複数の独立クレームを含めることができる。
(a)相互に関連する生産物
(b)生産物又は装置の異なる用途であること
(c)特定の問題を解決するための代替の解決法であって、単一のクレームによってはカバーできない解決法であること
規則改正の詳細は、下記をご参照ください。
http://www.epo.org/patents/law/legal-texts/decisions/archive/20090325.html
http://www.epo.org/patents/law/legal-texts/decisions/archive/20090325a.html
http://www.epo.org/topics/news/2009/20090403.html
http://www.epo.org/patents/law/legal-texts/InformationEPO/archiveinfo/20090820.html
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