弁理士リレーエッセイ:第15回 「卒業インタビュー」
パートナー弁理士 江上 達夫
(インタビュアー:篠田)
[インタビュアー] 江上先生、二度目となる、大学卒業おめでとうございます!
[ 江上 ] ありがとうございます。お蔭様でこの9月で、慶應大学法学部を無事卒業することができました。
[インタビュアー] 毎日夜遅くまで、しかも土日や祭日も殆ど働いているのに、一体いつのまに大学を一つ終えたのだろう?と、驚きですが、先ず入学されたきっかけなどを聞かせてください。
[ 江上 ] はい。最初は、仲良しの弁理士から今度卒業だ!と聞いたので、また授業料が意外と安かったこともあって、それなら自分も!と、軽い気持ちで入りました。ところが、実際には、開業当初の一年に一日も休まないような日々に重なっていたこともあり、大変な道のりでした。入学してから、通信教育の場合における、入学者数と卒業者数とを知ってビックリ、確か二十人に一人位しか卒業できない計算だった訳です。
[インタビュアー] エツ!どこかよその国の大学の話みたいですね!
[ 江上 ] はい。その実態としては、先ず、期限及び形式について特許庁より厳しい、レポート提出やその再提出等があります。せっかく試験がそれもAで通ったのに、レポート再提出の一日遅れでフイにした科目もありました。また、出席をとることが多い夏季や夜間のスクーリングがあり、ここでは、代返ができないようトリックが随所に仕掛けられているのです。
更に、六法のみ持ち込み可能という普通の法律試験の数々があり、まさに法学部って感じす。そして、卒論があり、これは、先生の負担軽減も兼ねて短期突破を試みようとしたところ、うまくいかず、結局、卒業は、簡単に言えば簡単でなかったのです!(笑)
[インタビュアー]よく続けられましたね。何かコツでもあったのでしょうか?
[ 江上 ] ええ、最初にお金を払っちゃってましたからねえ!(笑い) 最初の試験で、勉強超不足の中、必死で書いた憲法・民法ともに思わぬ好成績がとれたことで勢い付けられたこともありましたし。かつての過酷な弁理士試験で鍛えて以来、論文試験を目の前にすると戦闘スイッチが入る、超人ハルクみたいな体になったのが功を奏したとも言えますかね。それから勿論、大学ですから、有能な友達や先輩の存在は必須であり、その辺で私は運よく大変恵まれていましたね。
[インタビュアー] それじゃあ、やっぱり楽勝だったんじゃないですか? 先生友達多そうですしね!
[ 江上 ] それが途中からは、法学部を出て日又は米のロースクールへ!などという潜在的野心も完全に消えてしまったので気合が入らず、他方で仕事は常に忙しかったこともあって、卒業まで間延びしてしまいました。レポートや試験の度に、徹夜で勉強するのは、やはり体に応えますしね。仕事が常に優先なので、結局、間近での格闘となり正直イヤになる訳です。しかし最後は、一身奮起し、最後の試験をクリアすると共に、修正毎に、やはり徹夜を繰り返して何とか卒論を完成させることができました。卒論は、ソフトウエア特許に関するものだったので、有利に権利化を図るには?などの内容が厚くなり、またクセで欧米の話まで入れようとしたりで、結局、やたらと長くなって、論文らしくまとめるのが至難でした。
[インタビュアー] なんだか卒論も随分、骨おられたみたいですね。その分、喜びもひとしおだったのではないですか?
[ 江上 ] はい。でも先月、卒論を交えての面接試験も無事クリアでき、その帰り道では、はるか昔、大学入試や弁理士試験に合格したときにのみ味わった、あの飛び上がりたくなるような感覚を、再び味わうことが出来ました。
[インタビュアー]その感覚は貴重ですね。(私も早く味わいたいものです…) 終わられてみると、いかがですか?
[ 江上 ] はい、終わってみると、最短で2年半のところを5年半もかけて卒業するまでの間に、法律センスなるものが多少は身に付いた気はしています。基本である憲法、民事の基礎となる民法や破産法、訴訟に必要な民事訴訟法や刑法、手続法の基本をなす手形法や有価証券法、今後脚光を浴びそうな刑事政策や医事法などは、弁理士を法律家の一味として捉えるのであれば、やはり最低限の知識は身に付けておきたいところかと思われます。
[インタビュアー]ちなみに、成績は、いかがだったんですか?
[ 江上 ] 興味があったことが幸いしてか、今言った科目全てについてAがとれました。
[インタビュアー] さすがは先生ですね! さて、ロースクール準備といったような明確な目標無しで、東大に飽き足らずに慶應まで卒業してしまう原動力は、何なのでしょうか? 先生のように社会人で、再び大学や何か新しいことに挑戦しようなどという人に、何か一言お願いします。
[ 江上 ] 例えば、慶應であれば、通信なら入学は一番容易であり、卒業時点では通学と区別されないところにまで行けます。まあ、やりがいはあると思います。社会人が二つ目の大学を卒業することや勉強することの意味を問われると、或いはそれは贅沢などと言われると、山登りの意味を問われているみたいで、正直答え難いところもあります。ただ、忙しい中で、大学、より広くは学問に挑戦しようとする人には、ある種の眩しさがあり、ここは福沢大先生の「学問の進め」の精神にも従って、やっぱり、大きなエールを送りたい気分ですね。
[インタビュアー] 最後に、その二つ目の大学を卒業した後における先生の抱負は?
[ 江上 ] 勉強も一区切りついたので、これからはもっとしっかり稼ぐようにします!(笑)
[インタビュアー] 今日はお忙しいところありがとうございました。 以上
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